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海の物語

海は広く、深く、生物も多様で、その生物の色々な表情を見ていると楽しく、また水中を浮遊している感覚、海から見上げた太陽の光など、すべてに物語があるような気がします。写真に少しの言葉を添えました。

生物分布の不思議さ


撮影地:奄美大島
被写体:ヤスジチョウチョウウオ
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ヤスジチョウチョウウオは、現在、日本では奄美大島でしか見られないのではないか?沖縄では綺麗なダイビングポイントから濁りの多い内湾まで広く潜っているが、一度も見たことがないのである。
台湾では見られるらしいが、それでは台湾で見られて奄美大島の名瀬で見られて、その間の沖縄本島では見られないのは名瀬(…?)だろう?
死滅回遊魚にしても沖縄本島での確認例があってもいいはずである。それに内湾の浅場のサンゴ周辺でちょっとの間に10個体以上確認したことを考えると、そこで繁殖している可能性もあるのではないか。パラオ諸島産の個体は地色が黄色らしいが、奄美のはそんなに黄色が強くないことからフィリピンやインドネシア、台湾に近いようである。だれかこの謎解きの答え(仮説でもいいよ)教えてね。

2004/10/23(Sat)


海のオアシス


撮影地:沖縄 伊平屋島
被写体:ホンダワラ類の海藻
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伊平屋島は沖縄本島の北部にあり、運天港から連絡船で約1時間半で着く。南北に細長い島の南には野甫島が小さな橋でつながっており、その橋の南側の海は白い砂のまばゆいばかりのキラメキがある。そのキラメキの沖には点々と小さなサンゴ根が存在し、周りには各種の綺麗な小魚が乱舞しているのだが、それはまるで風にそよぐコスモス畑のようでもある。毎年ではなく、ある年のことだが、そんなサンゴ根より浅いキラメキの中に、わずか直径3mあまりの岩盤を覆い尽くす海藻が繁茂していた。
水深約4mの純白にキラメク砂の中にぽつんと現れた海藻の園の中には、キンセンイシモチ、フエダイ類やハギ類、ハナダイ類、そしてクマザサハナムロの幼魚が隠れており、砂漠に現れたオアシスともだぶる。
こんなに暖かく、周りがサンゴ根ばかりのところに、それだけ見ればまるで日本海のように水面までのびたホンダワラ系の海藻が繁茂している姿はなんとも不思議な光景である。
海の不思議さ、そして海の素晴らしさ、静かな時、やすらぎの時。

2004/7/5(Mon)


優しくおんぶ


撮影地:島根県隠岐島
被写体:ヤリイカの交尾
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わたしの故郷、隠岐島はイカの豊富にとれるところである。イカは各々産卵時期が異なり、高級で美味しいといわれるアオリイカは春〜初夏の5月〜7月初旬、私はアオリイカより旨いと思うのだが剣先イカは8月頃、塩辛にする茶色いワタのある真イカは冬1月〜2月頃、そして写真のヤリイカはやはり冬2月〜3月頃と記憶している。
そしてそれぞれその旬の時期は全くなんと言って良いのかたまらなく旨い。全種刺身はもちろん旨いが、剣先イカの釣りたての小さめを丸煮、真イカをワタもとらずそのまま丸焼き、ヤリイカも小さいものを丸煮、思っただけで酒が欲しくなる。これ以上は「男の料理」にとっておこう。
丸ごと食べた経験上、剣先イカは小ぶりのものがオスで、ヤリイカは小ぶりのものがメスのようだ。
イカの交尾はアオリイカや沖縄のクブシミのように、威嚇するように、或いは激しい愛の証(?)のようにお互い手と足(どれが手?)を絡ませあっての行為が良く知られていて、ダイバー諸氏はその現場をデバガメのごとく見にいったりする。ヤリイカは冬の夜中に群れをなして岸近くにやってきて、お互いお気に入りになるとオスが背中の上(人間の感覚だとお腹の上?)にメスをちょこんと乗っけてゆっくりと泳ぎ回る。
ひと時の愛の時間が終わると主に大きな岩礁の下の隙間に、藤棚に垂れ下がる藤の花のように、藤色ではなく白い卵の花隗をつける。
この写真は2月の夜中11時ころに撮ったものであるが、暗い闇の集魚灯の笠の下に集まったカップルは優しくおんぶしながらスポットライトのなかでスイングしている。たった一人の撮影は恐怖と好奇心と優しき光景のカクテルライトを浴びていた。
余談であるが、イカやタコの足と手の見分け方をお教えしよう。それは……彼らの頭を思いっきりたたいた時、頭をさっとかばったのが手である。なんてね…。

2004/6/17(Thu)


は・な・さ・な・い


撮影地:マレーシアシパダン島
被写体:亀の交尾
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シパダン島がまだ日本にほとんど知られていないとき、カメラマンの武内氏に誘われて雑誌にシパダン島を紹介する仕事に便乗して行ったときのものである。
センポーナから私たち数名をのせた小さな船が出港して1時間たっても透明度の悪い海の色に失望し、正面にみえた島をながめながら「もうそろそろ着くだろうけど、これじゃ期待薄いな」なんてひとり呟いた。ところがその島を通過してしまったのである。その後1時間たっても正面は広い大海原、島影さえ見えない。日本海の孤島育ちの私は、その荒海の豹変ぶりを見て育ったものだから、「こんなところで急に天候が悪化したらこの船などひとたまりもないな」などとまたひとりごちたのであった。それでも海の色は群青色に変わり、太陽の熱い光線のシャワーを浴びた肌に舟の走る風がさわやかで、船の舳先に座って白い波きりや時々群青の海原から一筋の航跡を描くトビウオの優雅さを見ていると、なんだか心が解けていくような安らぎを覚え、フーとため息をついた。
出航から約4時間後シパダン島に到着するが、岸壁がない。正面のコテージの全面にわずかに広がる砂浜に乗り上げるように船を着けると、沖の係留ブイ、といっても小さなボンテンなのだが、艫のアンカーがわりにとり、係留となる。荷物も人間も舳先からおり、青い海に興奮した訪問者たちは、着替えるのももどかしくマスクだけをつけて海に飛び込むとみんな同時に「カメだ!」と叫んだのだが、その後毎日カメ、カメ,カメの姿をみて、これが普通なんだと気づいたのである。
次の日、2本潜り終えて砂浜に座って沖を見ているとカメの首がいつまでも水面に出ている。多分交尾をしているということで武内カメラマンと素潜りで近づくと、交尾しているカメのまわりに数匹の大きなカメがあきらめないで奪おうとしているのである。こちらをカメと間違えたか眼前まで突進してくるやつもいる。結局一匹だけはどうしてもあきらめきれず交尾中のオスの首をつかまえて離そうとしているのだが、交尾中のオスは首にかかった手に苦しみながらも「は・な・さ・な・い」と頑張っているのだ。
メスガメは横槍のカメとデバガメの人間から逃げようとするのだが、2匹を背負っての遊泳は大変で、すぐに息切れしてしまいデバガメのいい被写体となったのである。「デバガメの語源はこれからきたのかな?」なんて馬鹿げたことを。
それにしても随分沖まで行って、潮が早かったら帰れなかったんじゃないのかな。当時唯一のサービス「ボルネオダイバーズ」のスタッフが、沖いくデバガメ二人を見ていて、岸に向かって泳いでいると、ボートで迎えに来てくれたのでした。ありがとうねスタッフさん。


2004/4/19(Mon)


浮遊するダルマ


撮影地:沖縄本島
被写体:ケショウフグの幼魚
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目の周りの模様からすると多分ケショウフグの幼魚だろうと思うのだが、沖縄本島の内湾で1回、宮古島と橋でつながっている池間島の岸近くで1回の計2個体しか見たことの無い幼魚である。動きは緩慢で、ハリセンボンより簡単に捕まえられる。身体はまるで空気の少ない柔らかいゴムマリのようで膨らんでもパンパンにはならなかった。膨らませた体に手で水を送ると,大きく膨らんだシャボン玉に息を吹きかけたようにグニャグニャフワフワと漂い、ヒレだけをわずかに動かしバランスをとっている。黒くパッチリとした目にその周りの放射状の模様の面構えは、何か威厳のようなものがあり、あごから突き出たようにお腹が膨れている様は、まるで海のダルマ大師のようである。動きの遅いのも、とろいのではなく悠々としているだけなのかもしれない。

2004/3/23(Tue)


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